写真に写り込む光のにじみや虹のような模様、レンズフレア。幻想的な表現として活用されることもありますが、思わぬ写り込みで写真が台無しになることもあります。
この記事では、レンズフレアの意味やゴーストとの違い、発生する原因や防ぐ方法、さらにはフレアを活かした撮影テクニックまでを初心者にもわかりやすく解説します。撮影時の失敗を減らし、表現の幅を広げたい方はぜひ参考にしてください。
レンズフレアとは?
カメラで撮影した写真に、光の筋や虹のような模様が現れることがあります。これがレンズフレアと呼ばれる現象です。特に太陽など強い光源を画角に入れたときに起こりやすく、意図せず写り込んでしまうと写真の印象を損なう原因にもなります。
一方で、フレアをうまく活かせば、幻想的で印象的な表現も可能です。ここでは、レンズフレアの意味や類似する現象との違いについて解説します。
- レンズフレアの意味
- レンズフレアとゴーストの違い
- 写真に現れる虹のような光
レンズフレアの意味
レンズフレアとは、カメラのレンズ内で強い光が反射し、センサーに余分な光が届くことで発生する現象です。これにより、写真の一部に白っぽいもやや、円状の光、虹のような色合いが現れます。
逆光や太陽光のような強い光源を撮影した際に起こりやすく、本来写したい被写体のコントラストや鮮明さを下げてしまうこともあります。しかし、フレアの特性を理解し演出として活用することで、作品に深みや雰囲気を与える効果もあります。
レンズフレアとゴーストの違い
レンズフレアと混同されやすい現象に「ゴースト」があります。フレアは光が広がって白っぽくなるようなにじみやベール状の模様であるのに対し、ゴーストは光源の形に似た円形や多角形の反射が画像内に点在して写る現象です。
どちらもレンズ内部での光の反射が原因ですが、ゴーストはよりハッキリした形状で現れます。撮影者にとってはどちらも意図しない光の写り込みとして問題になることがありますが、構図や設定を工夫することで回避が可能です。
写真に現れる虹のような光
レンズフレアが発生すると、写真に虹色の光や光の帯が写ることがあります。これは光がレンズ内部の複数のガラス面を通過する際に屈折・反射し、プリズムのように分解されることで起こるものです。
特に逆光下で撮影した際や、安価なレンズ、コーティングが弱いレンズでは発生しやすくなります。虹のようなフレアは非現実的な雰囲気を与え、アーティスティックな写真を演出することも可能ですが、意図しない場合は対策が必要です。
レンズフレアが起こる原因
レンズフレアは、撮影中に強い光がレンズ内部で乱反射することで発生します。特に逆光や日差しの強いシーンで起こりやすく、使用するレンズの構造やコーティングの有無にも左右されます。ここでは、レンズフレアが生じる仕組みや状況について詳しく解説していきます。
- 光の反射と仕組み
- 逆光でのレンズ内反射
- レンズ構造とコーティング
光の反射と仕組み
レンズフレアの主な原因は、カメラに入ってきた強い光がレンズ内部の複数のガラス面で反射・屈折することです。この反射光がセンサーに届くと、画像上ににじみや円状の光、虹色の模様などが現れます。
レンズ内のガラス枚数が多かったり、反射を抑えるコーティングが不十分な場合は、フレアが起こりやすくなります。これはレンズの設計にも関係しており、高性能なレンズほど対策が施されています。
逆光でのレンズ内反射
逆光状態では、光源が被写体の背後にあるため、強い光がレンズの前面から直接入り込みます。この光がレンズ内で跳ね返ることで、センサーに不要な光が届き、フレアやゴーストとして画像に現れます。
とくに夕日や街灯などの強い点光源がフレーム内やその近くにあると発生しやすく、画質が低下したりコントラストが失われる原因になります。逆光下の撮影では、フレア対策が非常に重要です。
レンズ構造とコーティング
レンズの構造やコーティングもフレアの発生に大きく関わっています。レンズが多層構造になっている場合、光の反射経路が複雑になるため、フレアやゴーストが出やすくなります。これを防ぐためには、光の反射を最小限に抑えるマルチコーティングが施されたレンズを選ぶことが有効です。
また、廉価なレンズや古いレンズはコーティング性能が低く、フレアの影響を受けやすいため、使用するレンズの品質にも注意が必要です。
レンズフレアの発生を防ぐ方法
レンズフレアは撮影中の工夫によってある程度防ぐことができます。特別な機材がなくても、ちょっとした工夫やアクセサリーの活用で、余計な光の入り込みを抑えることが可能です。ここでは、撮影時に実践できる具体的なフレア対策方法を3つの視点から紹介します。
- レンズフードの活用
- 手や物で光を遮る方法
- 角度調整と撮影テクニック
レンズフードの活用
レンズフードは、フレア対策において非常に効果的なアイテムです。フードを装着することで、画角外から差し込む斜めの光を物理的に遮ることができ、レンズ内への不要な光の進入を防げます。
とくに日差しの強い屋外や逆光での撮影では、その効果が顕著に現れます。レンズごとに専用のフードがあるため、純正または互換性のある製品を使用するのが望ましいです。軽量で手軽に取り付けできるので、常用をおすすめします。
手や物で光を遮る方法
レンズフードがない場合や補助的に使いたいときは、手や撮影小物を使って光を遮る方法も有効です。日傘、帽子、ノートなどをレンズの上にかざして、斜めからの強い光を遮るだけでもフレアは軽減できます。
ただし、遮る物がフレーム内に写り込まないよう注意が必要です。撮影アシスタントがいる場合は、光をブロックする係として協力してもらうのも良い方法です。とっさの対応にも使える実践的なテクニックです。
角度調整と撮影テクニック
撮影角度をわずかに変えるだけで、フレアの発生を防げる場合があります。光源がレンズに直接入らないように、上下左右にカメラを傾けたり位置を変えてみることで、フレアの発生を回避できます。
また、太陽を背にした順光での撮影に切り替えるのも有効です。さらに、ライブビューでフレアの有無を確認しながら撮ると確実です。撮影前に少し構図を工夫するだけで、無駄な写り込みを避けることができます。
また、下記ではレンズフードについて詳しく解説してます。気になる方はぜひ参考にしてみてください。 カメラ初心者の皆さん、レンズフードというアクセサリーをご存知ですか?一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラを使う際に、レンズフードを装着することで撮影の質が向上することをご存じない方も多いかもしれません ... 続きを見る
【初心者向け】レンズフードとは?効果と人気おすすめランキング10選
レンズフレアを活かす撮影
レンズフレアは一見すると撮影ミスのように思われがちですが、上手に取り入れることで作品に深みや温かみ、幻想的な雰囲気を加えることができます。ここでは、あえてフレアを取り入れる撮影方法や、逆光を活かした構図、幻想的な写真の演出テクニックを紹介します。
- わざとフレアを入れる方法
- 逆光を活かす構図例
- 幻想的な写真の演出術
わざとフレアを入れる方法
意図的にレンズフレアを入れるには、太陽や強い光源を画面の端に配置し、光がレンズに直接入り込むような角度で撮影します。フードは外し、フレアが出やすい古いレンズや単焦点レンズを使うのも有効です。
撮影中はライブビューでフレアの出方を確認しながら構図を調整しましょう。暖かみのある雰囲気や夢のような演出を加えたいシーンでは、あえてフレアを入れることで個性的な表現が可能になります。
逆光を活かす構図例
逆光を活かすには、太陽を背景にして被写体を配置し、人物や物の輪郭が光で縁取られる「バックライト効果」を狙います。これにより被写体が浮かび上がるように見え、印象的な写真になります。
また、逆光の位置をずらしながら撮影することで、フレアの入り方も調整可能です。被写体の髪の毛や葉っぱ、ガラスなど光を透過する素材と組み合わせると、より幻想的な表現ができます。
幻想的な写真の演出術
フレアを幻想的に活かすには、光のやわらかさと構図の工夫がポイントです。たとえば朝日や夕日など、柔らかい自然光を利用して撮影することで、写真全体にやさしい雰囲気が生まれます。開放絞りで背景をぼかし、フレアをぼんやりと浮かび上がらせると、夢の中のような印象に。
また、露出をややオーバー気味に設定することで、よりドラマチックで幻想的な仕上がりになります。
また、下記ではカメラの絞り(F値)の使い方について詳しく解説してます。気になる方はぜひ参考にしてみてください。 写真を劇的に変える鍵、それはカメラの絞り(F値)にあります。スマートフォンでも素晴らしい写真は撮れますが、一眼レフやミラーレス一眼カメラを手にしたとき、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、F値 ... 続きを見る
写真が劇的に変わる!カメラの絞り(F値)の使い方とシーン別活用法
レンズフレアが起こりにくいレンズ8選
ここでは、レンズフレアが起こりにくいレンズ8選を紹介します。
SONY(ソニー) 標準ズームレンズ APS-C E 16-55mm F2.8 G
高性能Gレンズシリーズの標準ズームで、広角から中望遠までをカバー。高い描写力とF2.8の明るさにより、逆光下でもフレアやゴーストを抑えたクリアな画質を実現。ナノARコーティングも施されており、コントラストや色再現性にも優れています。軽量で携帯性も良く、風景・人物・スナップなど幅広い撮影に対応します。
Nikon 単焦点レンズ NIKKOR Z 85mm f/1.8S Zマウント
NikonのZマウント用ポートレート向け中望遠単焦点レンズ。高い解像力と美しいボケ味が特長で、ナノクリスタルコートにより逆光でもフレアやゴーストを効果的に抑制します。静音AFや防塵防滴設計も搭載し、屋外での撮影にも安心して使用できるプロ品質の1本です。
OLYMPUS マイクロフォーサーズレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED
軽量・コンパクトながら高画質を実現したマイクロフォーサーズ用レンズ。ZEROコーティングにより、レンズ内反射によるフレアやゴーストを大幅に低減。逆光の強いシーンでもクリアな画像を保ちます。機動性に優れており、日常のスナップ撮影や旅行に最適です。
パナソニック(Panasonic) 標準単焦点レンズ マイクロフォーサーズ用 ルミックス
ライカの光学基準に基づいた高品位な単焦点レンズ。ナノサーフェスコーティングでフレアやゴーストを抑制し、逆光下でもクリアな描写が可能です。F1.4の大口径で、暗所撮影や美しいボケの表現にも強みを発揮。静音フォーカス搭載で動画撮影にも適しています。
富士フイルム フジノンレンズ XF16-55mmF2.8 R LM WR
F2.8通しの高性能ズームレンズで、防塵防滴構造を備えたプロ仕様。ナノGIコーティングにより、逆光時のフレア・ゴーストを抑え、鮮明な描写を実現。広角から中望遠までをカバーし、風景・人物・日常スナップまで万能に対応します。高級感のある外観も魅力です。
Canon RF 28-70mm f/2L USM Lens, Black - 2965C002
F2通しという明るさを実現した大口径ズームレンズ。RFマウント専用設計により、解像力とボケ味のバランスが非常に高く、逆光でもフレアを最小限に抑えるASCコーティングを採用。風景からポートレート、ウェディング撮影まで幅広く活躍するLレンズの代表格です。
シグマ(Sigma) レンズ 14-24mm F2.8 DG HSM Canon
広角ズームでありながら、F2.8通しの明るさと高解像を両立。特殊低分散ガラスやスーパー多層コートを採用し、逆光下でもフレアやゴーストを抑えて高コントラストな描写を実現します。風景や建築、星景写真にも最適な広角レンズで、プロの評価も高いモデルです。
タムロン TAMRON カメラレンズ 35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD (Model A043)
広角から中望遠までをカバーする高倍率ズームレンズ。BBARコーティングにより逆光時のフレアやゴーストを抑制し、クリアな描写が可能。手ブレ補正(VC)や静音駆動(OSD)を搭載しており、動画撮影にも対応。旅行やポートレートなど幅広いシーンで活躍します。
まとめ
レンズフレアは、写真に余計な光が写り込む現象ですが、その特性を理解し適切に対処すれば、作品の表現力を高める大きな武器にもなります。防ぎたい場合は、レンズフードや撮影角度の工夫、フレアに強いレンズの使用が効果的です。
一方で、あえてフレアを取り入れることで、温かみや幻想的な雰囲気を演出することも可能です。今回紹介した知識を活かして、フレアを味方につけた撮影を楽しんでみてください。