広大な風景も狭い室内も、広角レンズなら一枚に収められます。今回は焦点距離や活用シーンの選び方、Canon・Sonyをはじめ人気メーカーの特徴とおすすめ10本を初心者でもわかりやすく紹介します。さらに超広角との違いやメリット・デメリットも解説し、撮影例でイメージをつかめるようにしました。
この記事を読めば、ご自分のカメラに最適な一本がきっと見つかります。まずは広角レンズがもたらす表現力の魅力を一緒にのぞいてみましょう。
広角レンズとは?
広角レンズは、被写体との距離を変えずに、より広い範囲を一枚に収められるレンズです。まずは基本となる焦点距離と画角の関係を押さえ、超広角との違いや使い分けを理解しましょう。ここでは、広角レンズの魅力を段階的に解説します。
- 焦点距離と画角
- 超広角との違い
- 超広角は不要?
- 作例で理解
焦点距離と画角
焦点距離とは、レンズ中心からイメージセンサーまでの距離を指し、数値が小さいほど画角(写る範囲)が広くなります。一般的に35mm判換算で35mm以下が広角域、24mm以下が超広角域と呼ばれます。
同じ場所から撮影しても、標準レンズでは入り切らない建物や景色を広角レンズなら丸ごと取り込めるため、ダイナミックな遠近感や奥行きを強調した写真が得られます。広角効果を最大化するには構図を低めに構え、近景と遠景をバランスよく配置するのがポイントです。
超広角との違い
超広角レンズは画角が100度を超えるものも多く、広角よりさらに強烈な遠近感や歪曲が現れます。広角レンズが「見たまま+α」の広さを写すのに対し、超広角は視覚を超えた誇張表現が可能です。
ただし、建物の垂直線が大きく傾いたり、人物が端に寄ると顔が伸びるなどの歪みが顕著になるため、作品としてのインパクトと自然さのバランスを取る必要があります。日常スナップや商業写真などで自然な再現性を求めるなら、まずは広角レンズから使いこなすのがおすすめです。
超広角は不要?
超広角レンズが必ずしも必要かどうかは、撮影スタイルと用途によって異なります。風景や星空、狭い室内での不動産撮影など、画角の広さが最優先されるシーンでは威力を発揮します。しかし歪み補正や構図の難易度が上がるため、初心者が扱うとイメージ通りに仕上がらないことも多いです。
旅行や日常撮影で「広さ」をほどよく表現したいなら、まず24〜35mmクラスの広角レンズを活用し、物足りなさを感じた時点で超広角を検討すると機材投資の失敗が少なくなります。
作例で理解
例えば35mmで撮った街並みは、人の視野に近く自然な遠近感を保ったまま背景まで写せます。24mmに変えると路地全体や建物の高低差が強調され、臨場感がアップ。さらに14mmの超広角では空を含めたダイナミックなパースが得られ、手前の被写体を大きく、背景を劇的に小さく配置できるため作品性が高まります。
ただし、歪みや不要な要素が写り込みやすいので、撮影前に四隅まで画面をチェックし、水平・垂直を意識して構図を整えることが成功の鍵です。
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広角レンズで歪みのない写真を撮影するポイント5つ!補正方法も解説
広角レンズのおすすめ活用シーン
広角レンズは被写体を大きく写すよりもその場の空気感をすべて取り込むことに長けています。風景から人物、スマホ撮影まで幅広く応用できるのが魅力です。
ここでは代表的な4シーンを取り上げ、それぞれの撮り方や注意点をわかりやすく解説します
- 風景と建築撮影
- 人物ポートレート
- スマホ撮影応用
- 超広角の使い道
風景と建築撮影
広角レンズは雄大な山並みや都市のパノラマ、歴史的建築物の全景をダイナミックに収められるのが最大の利点です。前景に花や石畳を配置し、背景に山やビルを小さく写すと遠近感が強調され、写真に奥行きが生まれます。
水平線や垂直線がわずかに傾くだけで違和感が出るため、ライブビューでガイド線を確認し三脚や電子水準器を活用しましょう。建築撮影ではパースを生かして高さを際立たせるか、現像ソフトで補正して正確な直線を出すかで印象が大きく変わります。
レンズプロファイル補正と合わせて目的に応じた表現を選択することがポイントです。
人物ポートレート
背景を大きく取り込みつつ人物の存在感も出せるため、ストーリー性のあるポートレートに最適です。被写体を中央付近に置き、少し離れた位置から撮ると顔の歪みを抑えながら背景情報を豊富に入れられます。被写体の足元近くにカメラを構えるローアングルは遠近感が増し、モデルの脚長効果も狙えるテクニックです。
逆にフレームの端に人物を寄せると動きや広がりが強調されますが、端の歪みで体形が極端に伸びるので慎重に構図を調整してください。背景ボケを得にくい広角でも、F2.8以下の明るいレンズを使い被写体に接近すれば適度なボケを演出できます。
スマホ撮影応用
近年のスマホは標準レンズに加え広角・超広角を搭載するモデルが増え、手軽に広い画角を楽しめます。被写体にぐっと寄りながら背景を広く写せば臨場感が高まり、SNSでも目を引く写真に仕上がります。
撮影後は純正カメラアプリやLightroom Mobileで歪み補正をかけると建物が自然に見え、画面端の人物の引き延ばしも軽減できます。夜景撮影ではナイトモードと広角レンズを組み合わせることで、街の光を活かしたドラマチックな一枚を狙えます。
スマホ用クリップ式外付けレンズを併用すれば、より高品質な広角表現にも挑戦できます。
超広角の使い道
画角100度超えの超広角は歪みの強さゆえに扱いが難しい反面、唯一無二のインパクトを生み出せます。星空やオーロラといった空を大きく入れたいシーン、狭い室内で全体を写したい不動産・ホテル撮影などで真価を発揮します。
前景に被写体を思い切って近づけ、背景を一気に引き寄せる“引き寄せ効果”で、日常風景でも劇的な遠近感を得られます。ただし周辺部の歪みで直線が曲がるため、構図は中央寄せが基本。
歪みを補正し過ぎると画角が狭まるので、意図的に歪みを残すかどうかを撮影前に決めておくと仕上がりのイメージがぶれません。
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単焦点レンズの魅力を徹底解説!メリット・デメリットと選び方も紹介
広角レンズの人気メーカー
広角レンズ選びで迷ったら、まずは各メーカーの“らしさ”を知ることが近道です。キヤノンの堅牢なLレンズ、動画にも強いソニー、高解像を追求するニコン、そして高コスパで攻めるシグマ――4社の特徴を押さえれば、自分に合う一本が見えてきます。
ここでは代表レンズを例に、性能や描写傾向をわかりやすく解説します。
- Canon:Lレンズ高画質
- Sony:高速AF&動画性能
- Nikon:Z高解像描写
- SIGMA:Art高コスパ
Canon:Lレンズ高画質
キヤノンの広角レンズは赤いリングが象徴のLレンズシリーズが中心です。フルサイズ対応のRF15-35mm F2.8L IS USMなどは、5段分の手ブレ補正と防塵防滴構造を備え、星景から動画まで幅広く活躍します。
ASCコーティングで逆光耐性が高く、開放から周辺までシャープ。肌色再現の自然さも強みで、風景はもちろんポートレートでも立体感ある描写を実現します。フォーカスブリージングが少ないため動画撮影時も画角変化が抑えられ、初心者からプロまで信頼できる高画質レンズといえます。
Sony:高速AF&動画性能
ソニーはEマウント専用設計のG Masterシリーズが人気です。最新のFE16-35mm F2.8 GM IIは、2基のXDリニアモーターにより静粛で爆速なAFを実現し、被写体追従性能は動画でもトップクラス。Nano AR Coating IIでフレアを徹底抑制し、11枚羽根の円形絞りが自然なボケと美しい光芒を描きます。
ボディ内手ブレ補正と組み合わせれば手持ちでも安定した撮影が可能。軽量設計でジンバル搭載時の負担が少なく、ハイブリッドクリエイターに最適です。
Nikon:Z高解像描写
ニコンZマウントは55mmの大口径設計で周辺光量と解像力に余裕があります。Z 14-24mm f/2.8 Sは650gと軽量ながら、隅々まで高コントラストで、ナノクリスタルコートとARNEOコートがゴーストを抑制。
静音ステッピングモーターにより動画撮影時のAFノイズが少なく、フォーカスブリージングも極小。建築物の垂直線を正確に描写できるため、インテリアや不動産撮影でも評価が高いです。星空撮影では点像再現性が高く、フルサイズ高画素機の性能を存分に引き出します。
SIGMA:Art高コスパ
シグマのArtラインは純正級の画質を手頃な価格で提供します。14-24mm F2.8 DG DN Artはリアフィルターホルダーを標準装備し、超広角の弱点であるフィルター装着問題をクリア。周辺まで絞り開放からキレのある描写で、5000万画素超の高解像ボディでも性能を余さず活用できます。
防塵防滴構造とフッ素コートでタフな現場にも対応し、将来のマウント変更時に有償でマウント交換できるサービスも魅力。コストを抑えつつハイエンド画質を求めるユーザーの強い味方です。
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広角レンズ人気おすすめ10選
ここでは、広角レンズ人気おすすめ10選を紹介します。
CaNn RFレンズ RF15-35mm F2.8 L IS USM ブラック
開放F2.8通しと5段分の手ブレ補正を両立したハイエンド広角ズーム。最短撮影距離0.28mで花やテーブルフォトにも寄れ、防塵防滴・フッ素コートの堅牢ボディが屋外撮影をサポートします。Nano USM駆動は静音かつ俊敏で動画撮影でも画角変化を最小限に抑制。ズーム全域で周辺までシャープ、ASCコーティングが逆光ゴーストを低減し、星景や建築撮影でもクリアな描写を実現します。
SONY(ソニー) 広角ズームレンズ フルサイズ FE 16-35mm F2.8 GM II
前モデル比約20%軽量の547gながら、G Masterらしい解像とボケ味を両立。2基のXDリニアモーターが爆速・高追従AFを実現し、動画撮影時のフォーカスブリージングも大幅抑制。最近接0.22mで寄りの表現にも強く、Nano AR Coating IIがフレアをカット。ボディ内手ブレ補正と組み合わせれば手持ち4K動画も安定し、ハイブリッドクリエイターの主力レンズになります。
Nikon 超広角ズームレンズ NIKKOR Z 14-24mm f/2.8S
質量約650gで同クラス最軽量、明るいF2.8と114°の画角を両立。大口径Zマウント設計により周辺光量落ちを抑え、星空撮影でも点像再現性が高いことが特長です。ARNEOとナノクリスタルのダブルコートが逆光耐性を強化し、防塵防滴構造で悪天候にも対応。112mmねじ込みフィルターやリアフィルタースロットに対応し、風景から建築、動画撮影まで万能に活躍します。
シグマ(Sigma) レンズ 14-24mm F2.8 DG DN Sony
Artラインならではの高解像と歪曲の少なさを実現しながら、価格は純正の約2/3。内部ズーム方式で防塵防滴性能が高く、リアフィルターホルダーを標準装備。FLD/SLDレンズを贅沢に配置し、開放から隅々までクリア。高速ステッピングモーターは静音で動画AFもスムーズ。星景・建築・インテリアまで幅広いジャンルでコストパフォーマンス抜群の一本です。
Canon (キャノン) RF14-35mm F4 L IS USM レンズ
小型軽量540gで常時携行しやすいF4通しズーム。協調IS使用時最大7段の補正効果があり、手持ち長秒露光や動画撮影を強力にサポートします。0.2mまで寄れるためハーフマクロ的な表現も可能で、67 mm径フィルター装着に対応。静粛なNano USM駆動とLレンズらしい防塵防滴構造を備え、旅行やVlog用の万能広角レンズとして人気です。
Nikon 広角ズームレンズ AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G
230gと超軽量でAPS-C一眼レフとのバランス良好。広角15-30mm相当の画角に3.5段分VRを搭載し、手持ち夜景や室内撮影が快適です。AF-Pステッピングモーターは静かで動画でもピント移動が滑らか。最短0.22mでパースを効かせた近接表現も可能。コストを抑えて広角を楽しみたいエントリー層に最適なDX専用ズームです。
Nikon ニコン 広角ズームレンズ NIKKOR Z 17-28mm f/2.8
質量約450gの携帯性とF2.8通しの明るさを両立したZマウント広角ズーム。19cmまで寄れる近接性能でダイナミックな遠近感を活かした撮影が可能です。フレアを抑えるマルチコートと静粛STM駆動が動画収録をサポートし、フォーカスブリージングも小さくジンバルとの相性も良好。旅行やスナップで気軽に使える新世代レンズです。
キヤノン CanonRF-S10-18mmF4.5-6.3STM超広角ズームレンズ
わずか150gの超軽量設計でAPS-C機を機動力アップ。4段分の光学ISと協調ISで手ブレを強力補正し、Vlogの歩き撮りでも滑らかな映像を実現します。MF時0.86倍相当のハーフマクロ撮影ができ、被写体に寄りながら背景を広く取り込む表現が可能。静音STM駆動で動画AFも静か。小型ボディに多彩な機能を詰め込んだコスパモデルです。
タムロン 11-20mm F2.8 Di III-A RXD ソニーEマウント用
APS-C専用ながらF2.8通しで明るく、重さ約335gと軽量。0.15mまで寄れるためテーブルフォトにも活躍し、広角ならではの誇張効果とボケを両立できます。簡易防滴構造と防汚コートでアウトドア撮影も安心。静音RXDモーターが静かに合焦し、動画撮影でも滑らか。ズームリングの回転が軽快で扱いやすい、旅行に最適な一本です。
シグマ(Sigma) SIGMA シグマ Sony Eマウント レンズ 10-18mm
世界最小・最軽量クラス、質量260gのAPS-C用F2.8超広角ズーム。インナーズームでジンバルバランス変化が少なく、11cmまで寄れる0.25倍相当の擬似マクロ撮影に対応。高性能リニアモーターが高速かつ静粛にAF駆動し、フォーカスブリージングも極小。コンパクト機材で映像制作やVlogを行うクリエイターに理想的なレンズです。
まとめ
広角レンズは、風景をダイナミックに切り取る、狭い室内を広く見せる、背景を活かした人物写真を撮るなど表現の幅を一気に広げてくれる魅力的なツールです。
焦点距離と画角の基礎を押さえ、活用シーンやメーカーの描写傾向を理解すれば、自分の撮影スタイルに最適な一本が自然と見えてきます。今回紹介した10本は、いずれも高い評価を得ている定番モデルばかり。
スペックだけでなく、手にしたときの質感や操作感も比べながら、あなたの写真ライフを一段アップさせる相棒をぜひ見つけてみてください。