動いている車や電車などを背景を流して写す流し撮りは、スピード感や迫力を演出できる撮影テクニックです。一見難しそうに見えますが、ポイントを押さえれば初心者でも挑戦できます。
この記事では、流し撮りの意味や魅力、設定方法、撮影のコツ、そしておすすめのカメラまでわかりやすく紹介します。
流し撮りとは?
流し撮りとは、動いている被写体にカメラを合わせてシャッターを切ることで、背景を流しながら被写体をくっきり写す撮影テクニックです。スピード感や臨場感を演出できるため、スポーツや鉄道、動物の撮影などで人気があります。
ここでは、流し撮りの意味や特徴、背景が流れる理由、そしてどのように被写体を際立たせられるのかを詳しく解説します。
- 流し撮りの意味と特徴
- 背景が流れる理由とは
- 被写体を際立たせる効果
流し撮りの意味と特徴
流し撮りとは、カメラを被写体の動きに合わせて動かしながらシャッターを切ることで、被写体はくっきり写しつつ背景はブレて流れるように写る技法です。このブレがスピード感や動きを強調し、写真に迫力や臨場感を加えてくれます。
静止画なのに「動き」が伝わるのが最大の特徴で、鉄道、車、スポーツ選手、動物など動きのあるシーンで特に効果的です。設定次第で背景の流れ具合も調整でき、写真表現の幅が広がります。
背景が流れる理由とは
背景が流れる理由は、シャッター速度を遅く設定してカメラを被写体に合わせて動かす「カメラのパンニング動作」にあります。被写体は動いているものに合わせてカメラを動かすため、シャッターが開いている間に背景がブレて写り、流れるように見えるのです。
一方で、被写体とカメラの動きが一致していれば、被写体は比較的シャープに写せます。この対比が、流し撮りの「静と動」を両立させる独特の表現を生み出します。
被写体を際立たせる効果
流し撮りでは、動いている被写体にピントを合わせてカメラを追うことで、背景が流れて被写体だけが際立つ仕上がりになります。この「背景のブレ」と「被写体のシャープさ」のコントラストが、主役を強調し、視線を自然と誘導するのです。
また、背景がシンプルになることで写真全体がすっきりし、構図もまとまりやすくなります。特にスポーツ選手や車などスピード感が重要な被写体に対して、効果的に使用できます。
流し撮りのカメラ設定方法
流し撮りは、シャッタースピードや撮影モードなどのカメラ設定が仕上がりを大きく左右します。動きに合わせてブレを活かすためには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。ここでは、流し撮りに適した設定方法を順に解説します。
- おすすめのシャッタースピード
- 撮影モードと設定のコツ
- フォーカスと連写の活用法
- 手ブレ補正と三脚の使い方
おすすめのシャッタースピード
流し撮りでは、シャッタースピードを遅めに設定するのが基本です。一般的には1/30〜1/125秒が目安で、被写体の速度や距離に応じて調整します。スピードの速い車や電車は1/125秒程度、ゆっくりとした動きの被写体には1/30秒などが効果的です。
シャッターが開いている時間が長いほど背景は流れやすくなりますが、その分ブレやすくなるので練習が必要です。まずは1/60秒から試して、自分の撮影スタイルに合う速度を見つけてみましょう。
撮影モードと設定のコツ
撮影モードはシャッター優先(SモードまたはTvモード)がおすすめです。このモードでは、希望のシャッタースピードを設定するとカメラが自動で絞り値を調整してくれるため、背景をうまく流す撮影がしやすくなります。
ISO感度は自動でもよいですが、ブレを抑えるために400〜800程度に固定するのも一つの方法です。ホワイトバランスはオートでも構いませんが、連写を多用する場合はマニュアル設定で安定した色味を狙いましょう。
フォーカスと連写の活用法
動いている被写体を追う流し撮りでは、AF(オートフォーカス)の設定も重要です。AFモードは「AIサーボAF(キヤノン)」や「AF-C(ニコン・ソニー)」などのコンティニュアスAFを選び、動く被写体に常にピントを合わせ続けられるようにします。
また、シャッターチャンスを逃さないために連写モードを活用するのも効果的です。連写で撮影すれば、ブレの少ない1枚を選べる可能性が高まり、成功率がアップします。
手ブレ補正と三脚の使い方
手ブレ補正機能は便利ですが、流し撮りではあえてオフにする場合もあります。特に横方向の動きに対して補正が干渉してしまうことがあるため、設定で「流し撮り対応モード」や「パンニング補正」に切り替えましょう。
また、三脚はブレを抑えられる反面、動きのある撮影には向かない場面もあります。使うなら一脚や自由雲台付きの三脚で横の動きをスムーズに追えるようにするのがおすすめです。
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流し撮り撮影のコツ
流し撮りを成功させるには、カメラ設定だけでなく撮影時の動作や構え方も重要です。コツを理解し、実践することで撮影の成功率が大きく変わります。ここでは、具体的なやり方やピント調整、構え方、効果的な練習法について解説します。
- 流し撮りのやり方・手順
- ピントが合わない時の対処法
- ブレを抑える構え方
- 練習におすすめの方法
流し撮りのやり方・手順
流し撮りでは、まず被写体の動きを予測しながら、シャッターを切るタイミングを見極めることが大切です。やり方の基本は「被写体にカメラを向け、動きに合わせて平行にカメラを振りながらシャッターを切る」こと。
被写体の動線に沿って体を回転させるように動かすとスムーズです。シャッターを切る瞬間だけでなく、その前後もカメラの動きを止めないのがポイントです。これを「スルーショット」と呼び、背景の自然な流れを生み出します。
ピントが合わない時の対処法
流し撮りでピントが合わない原因は、AF設定のミスやカメラの追従性の限界にあります。まずは「コンティニュアスAF(AF-C、AIサーボAF)」を使い、被写体に常にピントが合う状態にしましょう。
また、ピントエリアは「ゾーンAF」や「ワイドエリアAF」など、動く被写体を捉えやすい設定にするのが効果的です。それでもピントが合いにくい場合は、置きピン(あらかじめピントを合わせておく方法)も選択肢になります。
ブレを抑える構え方
流し撮りではカメラをスムーズに振りながらも、無駄なブレを抑える構え方が重要です。足は肩幅に開き、被写体の動く方向に体を回転できるようにします。脇を軽く締め、ファインダーをしっかりと覗くことで安定感が増します。
体の中心軸を意識しながら腰から上を回すようにカメラを動かすと、揺れが少なくなります。また、手首だけで振るのではなく、肩や上半身を使って大きくゆったりと追うと自然なブレが出せます。
練習におすすめの方法
流し撮りは一朝一夕では習得できないため、練習が欠かせません。まずは歩いている人や自転車など、速度がゆるやかな被写体から始めると感覚がつかみやすいです。公園や広場などで繰り返し撮影し、設定と動作のタイミングを体で覚えることが大切です。
また、シャッタースピードを変えながら撮ってみて、背景の流れ方や被写体の写り具合を比較することで、理解が深まります。撮った写真を振り返り、うまくいった点と課題を整理する習慣も上達への近道です。
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流し撮り撮影におすすめのシーン
流し撮りは、動きのある被写体との相性が抜群です。スピード感や迫力を表現できるため、撮影する対象によってその魅力がさらに際立ちます。ここでは、流し撮りに特におすすめのシーンとして、鉄道・電車、スポーツ・レース、子どもや動物の3つを紹介します。
- 鉄道や電車の撮影
- スポーツ・レース撮影
- 子どもや動物の流し撮り
鉄道や電車の撮影
鉄道や電車は、一定のスピードで決まった方向に動くため、流し撮りの練習にも実践にも最適な被写体です。駅のホームや踏切、線路沿いなどから撮影すると、背景が流れ、列車だけがくっきり写る印象的な写真になります。
特にシャッタースピードを1/60〜1/125秒に設定すると、スピード感を出しつつ列車の形を保つことができます。通勤電車や新幹線、SLなど車種によって違った雰囲気を楽しめるのも鉄道撮影の魅力です。
スポーツ・レース撮影
陸上競技やサッカー、モータースポーツなどのスピード感あふれる場面では、流し撮りによって動きの激しさや迫力を表現できます。特にレースでは、車やバイクの動きを背景の流れで強調することで、臨場感あふれる一枚に仕上がります。
被写体のスピードに合わせてシャッタースピードを調整するのがポイントで、1/125秒前後から始めてみるとよいでしょう。選手の動きに合わせて滑らかにカメラを振ることが成功のカギです。
子どもや動物の流し撮り
元気に動き回る子どもや動物は、流し撮りにチャレンジするには少し難しい被写体ですが、成功すればとても感動的な写真になります。自然な笑顔や動作とともに、背景を流してスピード感を加えることで、生き生きとした表現が可能です。
ピント合わせが難しいため、連写モードや広めのAFエリアを活用するのがポイントです。屋外で走る場面など、動きが直線的なシーンを選ぶと比較的撮影しやすくなります。
流し撮り撮影におすすめのカメラ人気5選
ここでは、流し撮り撮影におすすめのカメラ人気5選を紹介します。
SONY(ソニー) ミラーレス一眼 α6600
ソニーα6600は、APS-Cセンサー搭載の高性能ミラーレス一眼で、高速・高精度なリアルタイムトラッキングAFと光学式5軸手ブレ補正が特長です。動体への追従性能に優れており、流し撮りのような動きのあるシーンでもしっかりピントを合わせられます。バッテリー持ちも良好で、長時間の撮影にも安心です。
【整備済み品】 FUJIFILM ミラーレス一眼カメラ X-T4ボディ
X-T4は富士フイルムの中でも特に人気の高いモデルで、強力なボディ内手ブレ補正と高速AFを搭載。シャッター速度や色味の再現性も優れており、流し撮りで臨場感のある一枚を撮るのに適しています。整備済み品なら価格を抑えて導入できるのも魅力です。
Nikon ミラーレス一眼カメラ Z5 レンズキット
Z5はニコンのフルサイズミラーレス入門機で、AF性能が高く、動く被写体の追尾にも強みがあります。ボディ内手ブレ補正を備え、流し撮りでも安定した撮影が可能。高画質な映像表現と使いやすさが両立されており、初めてのフルサイズとしてもおすすめです。
キヤノン EOS R7 ボディ
EOS R7はAPS-Cセンサーを搭載したキヤノンのミラーレス機で、最大30コマ/秒の高速連写や被写体認識AFが魅力。動きの速い被写体も正確に捉えるため、流し撮りとの相性は抜群です。軽量かつ堅牢なボディで、持ち運びやすさと高性能を両立しています。
OM SYSTEM/オリンパス OM-5 12-45mm F4.0
OM-5はコンパクトながら優れた5軸手ブレ補正を搭載し、動きのあるシーンでも高精度の撮影が可能。連写性能やAFも充実しており、流し撮り初心者にも扱いやすいモデルです。防塵防滴性能も高く、アウトドアやスポーツ撮影にも安心して使えます。
まとめ
流し撮りは、被写体のスピード感や臨場感を写真に表現できる魅力的なテクニックです。一見難しそうに感じるかもしれませんが、設定や構え方のポイントを押さえ、繰り返し練習すれば誰でも上達できます。
シャッタースピードや撮影モードを工夫し、自分のスタイルに合ったカメラを選ぶことで、撮影の幅も大きく広がるでしょう。この記事を参考に、ぜひ流し撮りにチャレンジして、自分だけの一枚を撮影してみてください。